金刀比羅宮 本宮 |
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祭神 大物主命 崇徳天皇 海上交通の守り神として信仰されており、漁師、船員など海事関係者の崇敬を集める。 神徳は極めて高いとされ、海上交通のみならず、交通安全に関しては日本でも随一の功徳を誇る とする声もあるほどである。時代を超えた海上武人の信仰も篤く、戦前の大日本帝国海軍の 慰霊祭だけではなく、戦後の朝鮮戦争における海上自衛隊の掃海殉職者慰霊祭も毎年、金刀比羅宮 で開かれる。境内の絵馬殿には航海の安全を祈願した多くの絵馬が見られる。金毘羅講に代表され るように古くから参拝者を広く集め、参道には当時を偲ばせる燈篭などが今も多く残る。 長く続く参道の石段が有名で、奥社まで登ると1368段にもなる。例大祭に合わせて毎年、これを メインに「こんぴら石段マラソン」が開かれている。 金刀比羅宮の由緒については二つの説がある。一つは、大物主命が象頭山に行宮を営んだ跡を祭っ た琴平神社から始まり、中世以降に本地垂迹説により仏教の金毘羅と習合して金毘羅大権現と称した とするものである。もう一つは、もともと象頭山にあった真言宗の松尾寺に金毘羅が鎮守神として祀 られており、大宝年間に修験道の役小角(神変大菩薩)が象頭山に登った際に天竺毘比羅霊鷲山 (象頭山)に住する護法善神金毘羅の神験に遭ったのが開山の縁起との伝承から、これが金毘羅大権現 になったとする。いずれにせよ神仏習合の寺社であった。海上交通の守り神とされるのは、古代には 象頭山の麓まで入江が入り込んでいたことに関係があるとされるとの説があるが、縄文海進での海面 上昇は5m程度であり、大物主命が「海の彼方から波間を照らして現れた神」であったことに由来すると 考えるほうが妥当である。 長寛元年(1163年)に崇徳上皇が象頭山松尾寺金光院に参籠したこと から、修験道の御霊信仰の影響で永万元年(1165年)には、讃岐国に流されたまま崩御した崇徳天皇も 象頭山松尾寺金光院に合祀した。 戦国時代には荒廃していたが、別当となった象頭山松尾寺の 宥盛が信仰を広め境内を整備した。宥盛は死の直前には神体を守るために天狗に身を変えたとの伝説も あり、死後は本堂付近に祀られる。 江戸時代初期には、別当の象頭山松尾寺の宥光が参拝の土産物として○に金の印を入れたうちわを作 ることを思いつき、大和国より技術者を招いたといわれ、この頃には信仰が次第に広がりを見せていた と推察される。 江戸時代中期に入ると全国の庶民の間へと信仰は広がり、各地で金毘羅講が組織 され、金毘羅参りが盛んに行われる様になる。この頃、金毘羅参りは伊勢神宮へのお陰参りに次ぐ庶民 の憧れだったといわれ、その様子は、浮世絵の東海道五十三次の一つである「沼津」に描かれた金毘羅 参りの後姿や、滑稽本の東海道中膝栗毛に書かれた主人公の弥次さんと金毘羅参りの格好をした男との 饅頭の食べ比べの話などからも、うかがうことが出来る。 江戸時代末期には「こんぴら船々 追風 (おいて)に帆かけて シュラシュシュシュ まわれば 四国は 讃州那珂の郡 象頭山 金毘羅大権現 一度 まわれば」との民謡が歌われ始める。 明治元年(1868年)の神仏分離令で金刀比羅宮と改称して神道の神社になり、主祭神の名は大物主神と 定められ、相殿(あいどの)に崇徳天皇を祀った。9月13日に勅祭神社とされた。象頭山松尾寺金光院は 廃されて、祀られていた宥盛は厳魂彦命と名を変え、明治38年(1905年)には現在の奥社へと遷座される。 それまで金毘羅大権現の本地仏として祀られていた本尊十一面観音像は信仰の対象から外されたが、社宝 として現在も観音堂に納められている。不動明王、毘沙門天の2体の脇侍仏は破却の危機に直面したが象頭山 松尾寺の末寺である万福院住職宥明によって救い出された。その後、所在は転々としたが、明治15年(1882年)、 裸祭で知られる岡山市の真言宗寺院、西大寺の住職光阿によって同寺に勧請され、あらためて金毘羅大権現の 本地仏として祀られ現在に至る。 近代社格制度のもと、明治4年(1871年)に国幣小社に列格し、明治 18年(1885年)に国幣中社に昇格した。 古くから信仰を集め、こんぴら講に代表される金毘羅信仰を 後世に伝えるため、昭和44年(1969年)8月5日、宗教法人金刀比羅本教の設立認可を受け、金刀比羅本教の 総本宮となった。総本部は金刀比羅宮の大門近くにある。金刀比羅本教は神社本庁に属さない独立した包括 宗教法人であるが、金刀比羅宮自体は神社本庁の被包括法人であり、別表神社に指定されている。 尚、 別の説として、生駒記讃陽綱目の金刀比羅宮の條によれば、讃岐国多度郡の式内社雲気神社が金刀比羅宮と いう記述がある。 またかつては、金刀比羅宮と倉敷市にある由加山(蓮台寺、由加神社本宮)の両方を 参拝する両参りという習慣があったといわれている。 |
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